悪魔のZ

Last-modified: 2021-12-10 (金) 01:43:56

主人公の朝倉アキオが搭乗する、Fairlady Z (S30)の異名。*1

 

ミッドナイトブルーに塗装されたそのS30Zは、まるで意思を持つかのように、また「くるおしく身をよじるように」*2走り、主人公・アキオの手に渡るまでに何度もクラッシュを繰り返し、数々の死亡者や負傷者を出したことから「悪魔のZ」として伝説化した。*3

 

製作者は、本シリーズでも当然おなじみの地獄のチューナー・北見淳。まだS30が新車だった頃、当時19歳の北見は第三京浜道路にてこのZ*4にぶち抜かれ、横浜港でオーナーと接触。粘り強い交渉の末に購入にこぎ着けたが、引き渡しの日にZは横羽線でクラッシュ。オーナーは病院送りになってしまい、北見の手には渡らなかった。それから10年後、29歳の北見はとある解体所でこのZと再会し、チューニングに着手する。搭載されていたL28を、まずは3,134ccにまで排気量を拡大して300馬力ほどのフル・メカチューン仕様に仕上げ、さらに三菱重工業製・TD06タービンを2基搭載する事で600馬力・トルク80キロを誇る常識外れのモンスターマシンを造り上げた。このような仕様でありながら、ワンオフパーツはクランクシャフトを除いて一切使用されておらず、市販の改造パーツを組み込んだのみであった。*5YM-SPEED代表・山本和彦曰く「北見が最も愛した車」。Zを仕上げた後、北見の工場は廃業へ追い込まれ、彼の家族もその許を去っていった事から、自転車屋へ転職することになる。
当初、悪魔のZは北見以外には整備出来ない*6とされていたが、現在ではRGO代表・大田和夫の娘である大田リカコが整備を担当している。*7

 

完成当初は北見が所有していたが、自身の工場の廃業を機に手放したと思われる。その後は幾度の事故を重ねながら次々とオーナーを変え、物語開始の2年前には当時のオーナー・朝倉晶夫が死亡する事故を起こしたのちに黒佐解体所に引き取られ、他の廃車と共に放置されていたところをアキオが一方的に惚れ込む形で購入。自動車整備工場を営む知人・高橋(コウちゃん)の手を借りて修理し、再び走り始める。
しかしアキオもZに乗り始めた当初は、時折意思を持つような不可解な挙動によって、幾度も事故に巻き込まれることになる。*8しかし、アキオはこのZを見捨てる事をせず、幾度と無く自分で修理を重ねて乗り続けていく。
その後、悪魔のZ復活編の終盤、湾岸線・東京港トンネル手前にて大型トラックと絡む大事故を起こし、大破炎上。そのまま廃車になるはずであったが*9、アキオは北見の旧友であり悪魔のZのボディを製作した天才的なボディワーク技術の持ち主・高木優一と共に悪魔のZを修復・復活させた。
その後、悪魔のZは様々な最新型スポーツカーや島達也のブラックバードに対抗するため、オイルの潤滑方式をドライサンプに変更してエンジンの搭載位置を下げたり、ルーフを切断してカーボン製ルーフを装着したり、アンダーパネルを装着*10することで、旧車のネックとなるコーナリング性能を上げるなどの大規模な改造が施されている。また、北見がパワーを重視しあえて切り捨てていた低速域の調整をリカコが行った事により、全速度域でのエンジンの「つながり」が発揮されるようになった。

 

また、当初は選ばれた者にしか乗れず、それ以外の者が乗ると事故に遭う呪われた車と言われていたが*11、話が進むにつれて様々な人物が搭乗している。*12

ナンバープレートは、作中時点で「横浜33 て 53-68」。*13車体は5ナンバー枠だが排気量が2Lを超えているので3ナンバーとなり、L28改と記載し改造車として車検を通した個体である。*14同じ神奈川運輸支局の管轄の為、ナンバーはそのまま引き継ぎになった。

 

外装は前後エアロバンパー・ヘッドライトカバー・小ぶりのリアスポイラー・オーバーフェンダーが装着されているが、劇場実写版ではフロントエアロバンパーとオーバーフェンダーのみになっている。ホイールのデザインは、RSワタナベ製のEIGHT SPORKを元としている。当初はフロントバンパーにフォグランプが埋め込まれていたが、原作の早い段階で撤去されていた。
アキオが手に入れた当初までは、サイドミラーはフェンダーミラーだったのだが、ブラックバードとの2度目のバトルでクラッシュし、修理してからドアミラーに変更している。*15
また、地上のゼロ編にて一度だけフロントバンパーを240ZGの物*16に換えたことがあり、直線でのスピードの伸びは良かったが、熱が逃げないことから元の形に戻している。ちなみに、エアコンなどの空調系は全て撤去されている事が城島の搭乗時に判明している。
テールランプは、序盤におけるトラックとの大事故の前は後期型用のツーテールであったが、大事故後の復活の際に前期型のワンテール仕様に交換されている。内装も前期仕様のインパネを思わせる形に描かれているが、マキシシリーズやアニメ版に加え、ミニカーやプラモデルなどほとんどのメディアミックス作品で再現されておらず、最初からワンテールになっているものが多い。初期はツーテールと知らない人も多いのではないだろうか。

1991年の大鶴義丹主演の実写版においては、当時存在したチューニングショップ「スピードショップシノハラ(SSシノハラ)」が製作した、実際にツインターボ化済み(IHI製・RHC6タービンを2基掛け)のL28改3.1L仕様エンジンを搭載するダークブルーのS31Zが悪魔のZとして劇中で使用された。推定650馬力と語られたS31Zは詳細が不明のままいつの間にか行方知れずとなり、コアなファンの間では悪魔のZを史上最も忠実に再現していたクルマとして伝説的な存在となっている。


*1 ちなみにプレイアブル車両のS30Zも、悪魔のZ仕様として似せる事が可能。ただし、ゲーム中の悪魔のZエンジン音は専用の音を使用しており、外観もヘッドライトカバーが装着されない事に加えてリアバンパーの形状が異なるため、完全再現は不可能。
*2 この走りは高木の「ねじれてパワーを逃がす」ボディワークに起因するものとみられる。
*3 しかし、登場人物の中には「悪魔とは天界から追放された天使で反逆者。チューニングという反逆的な行為を現して、あるいは当時誰も成し得なかったその圧倒的なパワーを指して『悪魔』と呼ばれたのではないか」と、独特の解釈をする者もいた。
*4 この時点で既に当時日本では入手不可能だったL28を、所謂「ソレ・タコ・デュアル」のライト・メカチューン仕様で搭載していた
*5 ちなみに小説版「疾走のバラード」にて、北見が悪魔のZを生み出すときに施したチューニングについて語るシーンがあり、そのシーンで装着した全てのパーツを確認することが出来るが、原作とは違いキューネ・コップ&カウス社製のK26タービンや、ウェーバー製キャブレターを使用している。
*6 非常に高い技術でチューニングされているためとのこと。ただし、R200CLUB編の終盤にて、黒木の33GT-Rとのバトル後にクラッチが壊れた際は、YM-SPEEDにて山本が修理をしている。
*7 北見本人は、「もうL型は一切(チューニングを)しない」と明言しZのチューンについては他人に任せ、ブラックバード専属のチューナーとなっているが時折Zや他の車に少しばかり手を入れることもある。それは決してZを見放したわけではなく、むしろ逆に「より強い者と戦うことにより生きてくる」というZを終わらせないためである。
*8 最初に事故を起こした時は、コウちゃんからも「もうこのZは直せない」と断言され、別のS30Zを探すように忠告された。
*9 製作者の北見ですら「悪魔のZは死んだんだ」と言っていた。
*10 小説版では最初から装着されている。
*11 事実、アキオをはじめとして、初期の頃は相当数の事故を起こしている。
*12 主人公アキオの走り屋仲間の秋川零奈(レイナ)、城島編に登場するチューニングショップ・ZEROの専属ドライバーを担当していた自動車評論家・城島洸一など。ブラックバードを駆る島達也も、1回だけ運転したことがある。また、北見によると「特例のアキオを除けばレイナこそがZの乗り手にふさわしい」とのこと。
*13 アニメ版では「1」が付加され「53-681」となる。劇場実写版はひらがなの部分が「て」でなく「つ」となる
*14 ちなみに原作第1巻19ページに悪魔のZの車検証の一部が写るシーンがあり、そこには悪魔のZの車体番号「S30Z 11623178-67」も確認できる。
*15 劇場実写版では最後までフェンダーミラーのままだった。
*16 グランドノーズ。通称・Gノーズ